- NHK−BSで9月17日放送。2005年。ジェラルド・クラークによる伝記「カポーティ」が原作とのこと。
- 村上春樹訳の「ティファニーで朝食を」のあとがきを読んだ後、いつか読もうと「冷血」も購入してあるため、同じく未読の「カメレオンのための音楽」と併せて一気にカポーティ強化月間という思いもあるにはあったのですが、映画は映画として観てしまうことにします。
- そのあとがきにある「それは取材という領域を越えて、もっと個人的な、人間的なコミットメントになった。(中略)しかしその本はカポーティに名声をもたらすと同時に、彼の中から多くの活力を奪っていった。彼はそのマテリアルを余すところなく利用したが、そのマテリアルもまた、カポーティを余すところなく利用し、消耗させたのだ。カポーティはその潤沢なマテリアルと彼の魂を交換した、という言い方はあるいは極端にすぎるかもしれない。(中略)二人の殺人犯の処刑に立ち会ったことで、カポーティは深いショックを受けたし、そのショックから立ち直ることはなかったように思える」という辺りを描いているのですが、よく映画化されたなという渋さ。
- この渋さでアカデミー賞主要5部門ノミネートという事実に驚きますが、トルーマン・カポーティの知名度の故でしょうか。フィリップ・シーモア・ホフマン(主演男優賞受賞)の喋り方が似ているのかどうかまでは良く分かりませんが、こんな雰囲気だったんだろうなとは思わせます。
- ネル・ハーパー・リー(「アラバマ物語(To Kill a Mockingbird)」の作者)という人の存在を知らなかったため、「アラバマ物語」の出版と映画化の件はやや混乱しましたが、この辺りも米国における知名度を反映しているのでしょうか。
- 映画の中では事件の詳細にはあまり踏み込んでいないので(「冷血」を読んでいることを前提として作られているように思います)、「冷血」を読む楽しみは残されました。