「カポーティ」

カポーティ コレクターズ・エディション [DVD]

  • NHK−BSで9月17日放送。2005年。ジェラルド・クラークによる伝記「カポーティ」が原作とのこと。
  • 村上春樹訳の「ティファニーで朝食を」のあとがきを読んだ後、いつか読もうと「冷血」も購入してあるため、同じく未読の「カメレオンのための音楽」と併せて一気にカポーティ強化月間という思いもあるにはあったのですが、映画は映画として観てしまうことにします。
  • そのあとがきにある「それは取材という領域を越えて、もっと個人的な、人間的なコミットメントになった。(中略)しかしその本はカポーティに名声をもたらすと同時に、彼の中から多くの活力を奪っていった。彼はそのマテリアルを余すところなく利用したが、そのマテリアルもまた、カポーティを余すところなく利用し、消耗させたのだ。カポーティはその潤沢なマテリアルと彼の魂を交換した、という言い方はあるいは極端にすぎるかもしれない。(中略)二人の殺人犯の処刑に立ち会ったことで、カポーティは深いショックを受けたし、そのショックから立ち直ることはなかったように思える」という辺りを描いているのですが、よく映画化されたなという渋さ。
  • 寒々しい南部の農村風景と華やかなニューヨークのナイトライフが映像上も美しく対比されていて、カポーティ本人の出自と現状を上手く視覚的に伝えていたと思います。
  • 映画の中では事件の詳細にはあまり踏み込んでいないので(「冷血」を読んでいることを前提として作られているように思います)、「冷血」を読む楽しみは残されました。