「霧の中の風景」

テオ・アンゲロプロス全集 DVD-BOX III (霧の中の風景/蜂の旅人/アレクサンダー大王)

  • アレクサンドロスと姉ヴーラが父親探し(「私だよ」)、とうことはアレクサンドロスアンゲロプロス自身で、「シテール島への船出」のオープニングで兵士にいたずらをしていた少年もアレクサンドロスだったのか、と思いつつ観ていると、本作でもヴーラはトラック・ドライヴァーにレイプされ、ゲイの旅芸人に好意を抱き、兵士に売春を持ちかけており、アンゲロプロス本人のバックグラウンドに興味が湧くところです。
  • 「シテール島への船出」では控え目だった長回しも堪能できますが、何となく固定カメラのでの長回しを想像していたので、ジワジワと動くカメラに酔いそうでした(特に視点がグルグル回る海岸のシーン)。
  • ヘリコプターで運ばれる人差し指の欠けた手は「8 1/2」のオープニングを、オレステス姉弟を追う夜道の光景は「甘い生活」を連想させますが、地獄巡りという点で「甘い生活」の方に類似点があるのでしょうか。
  • 旅芸人オレステスは顔もファッションも、バイクに乗っているところも、「トップ・ガン」(1986年)の頃のトム・クルーズそっくり。
  • 「シテール島への船出」はグッと来たのですが、本作は、創世記の引用や暗喩的なシーンがことごとく上滑りして、殆ど心に響きませんでした。年齢的なものでしょうか。