- ドビュッシー研究で知られるピアニストなだけに、やはりドビュッシー及びフランスの話題が多く、中心的なテーマとして通底しているのは、文学では可能な「醜悪の美」を音楽で表現することがなぜ困難・不可能なのかという問題提起。
- 「ワーグナーとドビュッシー」、「ピアニシモの秘密−マーラーとドビュッシー」といった作曲家の比較、「キャンセルする天才、しない天才−アルゲリッチとラローチャ」、「神の国の序列−『グルダの真実』を読んで」といったピアニスト評など、短いながらもさすがに興味深い話が多く、堪能しました。
- その他、タイトルの元になったと思われる「ピアニストのお尻」(「クラシックのピアニストは、お尻に痣があるのを知っていますか?」)や「無駄毛再考」(「お昼どきにコンビニなどにでかけると、両ひじをヨガのポーズのように水平に上げたまま買い物をしている、奇妙な一団にでくわすことがある」)など、他愛のないエッセイも面白かった。