服部正也「ルワンダ中央銀行総裁日記<増補版>」

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)

  • これも、JMMで配信されていた春具「オランダ・ハーグより」の第6回「書評のまねごと」(2001年3月)で、「国際行政の仕事についてから折につれてひもといた本」、「わたくしは大学院にいたときに、いまニューヨークの国連代表部で公使をしている吉川元偉くんにすすめられ読み、以来トロント、ニューヨーク、ジュネーブ、ハーグと住処を変えても持ち歩き、いまでも拙宅の書架にあります。わたくしは経済の専門家でもなく開発問題も門外漢であり、また服部さんと面識があったわけではないのですが、ほんとうに何度読み返したかわかりません」と紹介されていて興味を持ったもの。
  • その当時は在庫切れで入手困難な状況だったのですが、2009年に増補版として復刊された際に購入。したものをここにきて読んでみました。11年越し。
  • 政策手段は少し古めかしい気もしますが、理屈よりも現場というか、一つ一つ誠実に対処していくしかないんだなということが痛感され、海外技術協力に参画してみたい気持ちになります。
  • 「教育に関する親の責任は、進学路線の確保等は末梢の問題で、成人してからの人生でどんな困難に遭遇しても、正面からこれに取り組んでこれにうち克つという人間的強さを、あらゆる機会をとらえて子供にうえつけてやることだ」という教育哲学は格好良いです。
  • 他方で、増補として収められた、ジェノサイドに関する記事(1994年10月)については、ルワンダ愛国戦線/ポール・カガメに対する疑念は一見識だとしても、「フランス解放後のドイツ協力者に対する攻撃、関東大震災の自警団による朝鮮人虐殺、近くはロサンゼルスの黒人暴動」と同列に語るのは(何が真実かは知るべくもありませんが)激しい違和感を禁じ得ません。