杉浦日向子 「合葬」

合葬 (ちくま文庫)

  • 杉浦日向子はいつか読んでみたいと思っていたところだったのですが、クリス・ウェア「世界一賢い子供、ジミー・コリガン」関連で発見した細馬宏通の日記における「年で言えばひとつ上、ということもあって、『合葬』が出たときには、『この年齢でこの深さは・・・』と衝撃を受けた」との言及に触発されて本書を購入。
  • 松岡正剛も千夜千冊で、「杉浦日向子がぼくを驚かせたのは、1982年に『ガロ』に連載された初期の『合葬』(筑摩書房)だった。いままでにない語り部の登場と『和の映画』の誕生を感じた」と言及していました。
  • 着想は気が利いていて、筋運びもスマートだと思うのですが、こういうガロ系の画風だとは思わなかったので少し面食らいました。
  • 1984年時点で描かれた上野戦争(1868年)。クリス・ウェア「世界一賢い子供、ジミー・コリガン」に登場する史実と列べるなら、シャイローの戦い(1862年)とシカゴ万博(1893年)の間。「遠いところの遠い昔の話のようでも、この場所でほんの百二十年前の父祖たちの話」という共通項がかえって歴史感覚の違いを際立たせるような気がします。
  • 度肝を抜かれた、という感じでもありませんが、「百物語」「百日紅」あたりは読んでおこうかというところ。