杉浦日向子 「百日紅(上)(下)」

百日紅 (上) (ちくま文庫)  百日紅 (下) (ちくま文庫)

  • 豊富な知識が熟成の後に自ずから溢れてきている雰囲気に余裕が感じられ、日本酒を飲むような、ちょっと良い心持ちが長く続く読書感覚と言えましょうか。
  • 演出のアイデアも気が利いていて、時に目の覚めるような効果を発揮していますが、他方で、画力がボトルネックになっているように感じられる場面も少なくなく、惜しいと言わざるを得ません。
  • 当たり前ですが時代考証は正確であるはず。家が汚いとかどんどん改号したとか、葛飾北斎のことを全く知らなかったのでとても新鮮。
  • 調べてみたところ、1849年まで生きていたというのも不勉強にして初耳でしたが、シーボルト事件に関連していたのも意外。元々知識不足なので、教科書代わりのみなもと太郎風雲児たち」で触れられていないと途端についていけません。