都築響一 「賃貸宇宙−UNIVERSE for RENT(上)(下)」

賃貸宇宙UNIVERSE for RENT〈上〉 (ちくま文庫)  賃貸宇宙UNIVERSE for RENT〈下〉 (ちくま文庫)

  • 「TOKYO STYLE」の続編。転居にもモメンタムを失うことなく、文庫で入手できる都築響一作品は全てオーダー。
  • 上巻2,310円、下巻1,785円と文庫としてはお高め。厚さに背表紙が耐えられないという構造上の欠点はあるように思います(下巻の表紙と本体が分離しました)。
  • 時折住人が写っていること、東京に加えて関西の物件も含まれていることが前著との違い。現在の状況はあまりよく知りませんが、「ひとり暮らしスタート時に敷・礼・前家賃に不動産の仲介手数料と、家賃の10ヶ月近い金額を支払わなくてはならないのでは、自立しろというほうが無理」という関西の賃貸不動産慣行を糾弾する「だから関西はつまらない?」は良いメッセージだと思いました。
  • イントロダクションのタイトル「2001年賃貸宇宙の旅(2001: A Rental Space Odyssey)」は気が利いてます。
  • 住人の一部が裸なのは、「若い男女が住む部屋にお邪魔し、部屋を撮影させてもらう。その際に住人には洋服を脱いでもらい、裸で画面に入ってもらうという企画」、「ヘヤ・ヌードなんてどう、みたいな下らない駄洒落とともに始まった気楽な連載」というフリーペーパー「TOKYO ATOM」連載分。その他「SPA!」、「室内」、「週刊アスキー」等、「さまざまな雑誌のために撮影取材した、約9年間分の原稿をまとめ」たのが本書ということのよう。
  • 次は「珍日本紀行−東日本編/西日本編」か「珍世界紀行−ヨーロッパ編」。