ひよこ舎編「作家の本棚」

作家の本棚 (アスペクト文庫)

  • 新潮社編「私の本棚」に続いて本/本棚本。こちらは写真が豊富で、読み応えはありませんが、見応えがあります。
  • 角田光代という人を全然知りませんでしたが、望月峰太郎好きを明言していて驚き。「あと歩きながら読めればどれだけいいかと思って」という心情にも強く同意します。グーグルの眼鏡型端末に期待です。
  • 同じ積読派でも、菊地秀行が「だから増える一方なんだけど貧乏根性で捨てたくないんですよね。何か大変なことが本には書いてあるような気がするじゃないですか」と諦念に近いのに対し、みうらじゅんは「もう買った時点でいいんですよ。オレがこの本に興味があるってことがわかったんですから。わかることが大事なんで。いくらかでもお金を出して買うってことは相当ハードル高いですからね。金出してまで買うってことは相当興味あるんだなーって自分が思うんですよ」、「だからちょっとでも気がついたときは買っておくんですよ。種まいとくの」、「背表紙だけ、ていねいに見て、買った段階でオッケー。買ってすぐには読まない。しばらく本棚に入っていて、ある日突然、扉がばーんと開くんです」と正当化、という違いも面白い。
  • 桜庭一樹「今の本棚にしてからは、気に入っているものは入れておいて、もうこれは読まないかな、というものは入れ替えで。だから本棚に入っている本は殿堂入りです。この本棚に入れられる本だけ持っておいて、これ以上は持たない」というのが現実的な路線かと思いますが、この人の本棚はかなり大きそうな雰囲気。
  • 個人的には、昔は読んだ本は売れない児玉清派でしたが、いつの頃からかバンバン売り払えるようになりました。考えられる変化の要因としては以下。
    • そこらで買えるものばかりで、稀覯本など一つもないこと。
    • 読書家としてもたいした量は読まないこと。
    • 昔から、住宅に限らず、人工構造物の床面が積載物の重量で抜けるというオブセッションがあること。
    • 転勤稼業のため、捨てるのが惜しいという気持ちだけで、読みもしない書籍をもって、全国を異動するのがバカバカしく感じられたこと。
  • 出入りの激しい中で良質なストック(常にテンタティヴ)が形成されるのが理想的な姿ですが、その場合の本棚の規模感がまた悩ましいところ。蔵書量や読書量から考えず、この住宅スペースの中でのバランス的にこれぐらいというように感覚的に決めてしまった方が良いというのが結論。
  • 2冊読んでみましたが、棚そのものにこだわっている人はあまりいなそうな印象。個人的に気になるポイントは以下。要検討。
    • ポリ合板やプリント合板は×。
    • ダボ穴による可動棚は×。全て固定棚が好ましい。
    • 造り付けは将来的なフレキシビリティーがなくなるので△。
    • 本棚自体があまりに重いのは△。
    • 幅や高さは蔵書に合わせずほぼ一定のピッチが○。詰め方で工夫。