- リアルタイムでは嫌悪感を覚えつつ、貰い物のMD(古い)をそれなりに聴き込んでいた椎名林檎。MDはハード・ソフトともとっくに廃棄してしまったところ、特にこれといった理由もありませんが、初期2枚を改めて聴いてみようかと思い立ちました。まずはファーストから。1999年。
- サウンドは当時から野暮ったいと思っていましたが、聴き直しても、思っていたよりはヴァラエティーがあった他には、基本的な印象は変わりません。
- アレンジは亀田誠治。当時愛聴していたのは、レッド・ホット・チリペッパーズ「カリフォルニケイション」(1999年)、ビョーク「ホモジェニック」(1997年)、レディオヘッド「OKコンピューター」(1997年)で、「自分が試してみたかったことが、それぞれの姿で具体化されていたアルバムでした。勝手に応援されているというか、肯定されているというか、ともかく背中を押してくれているような気がした3枚」なんだそうです。
- 歌詞等のセンスも(意図的なんでしょうが)無意味に露悪的でソフィスティケーションを感じませんし、結局のところ、ソングライティングと歌唱力にフックされているということのような気がしました。ビートルズ「アンソロジー2」収録の「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」のデモ音源にハッとさせられた記憶がありますが、プレーンな曲と声の魅力を確認するためにも、モ音源を聴いてみたい気がします。
- デビュー10周年インタヴューによると「いつ曲を書いているか、誰も知らなかったんですね。だから、いつの曲だか分からない曲が入ってるカセットをスタッフみんなが何本か持っていて、“このカードをいつ切るか”って話し合っているような、そんなムードだったんですね」とのこと。更には、「オルタナティヴな態度のアーティストに惹かれるっていうことではなく、単純にどんなアレンジが施されていても、いい旋律を書くことに憧れているし、好きなんだ」との発言もあり、本人もメロディーメイカーとしての自意識が強いのかもしれません。
- この頃はまだ車に乗る生活をしていたので、よくFMで同時代の音楽を聴いていたというのが改めて聴き直す大きな要因かもしれません。1999年で記憶に残る曲は以下のとおり。CDもよく売れていたようで、隔世の感があります。
- シェール「ビリーヴ」
- ジャミロクワイ「キャンド・ヒート」
- シュガー・レイ「エヴリー・モーニング」
- リッキー・マーティン「リヴィン・ラ・ヴィダ・ロカ」
- ペット・ショップ・ボーイズ「ニューヨーク・シティー・ボーイ」
- 速水けんたろう/茂森あゆみ「だんご3兄弟」
- 坂本龍一「ウラBTTB」
- 宇多田ヒカル「ファースト・ラヴ」