清武英利 「しんがり−山一証券最後の12人」

しんがり 山一證券 最後の12人

  • もうすぐドラマ化されるか何かでウェブ上の紹介記事を目にして購入。
  • 清武英利というと、コーチ人事で渡邉恒雄と揉めていた巨人の人(清武の乱)という印象しかありませんでしたが、本業は読売新聞の記者。球団代表退職後も本作で講談社ノンフィクション賞を受賞しており、しぶとい活躍振り。
  • 三菱重工業CB事件で左遷された行平次雄を復活させるため法人事業部が無理な営業をかけたという、廃業に向かう一連の流れは実に興味深いですが、どこまでが既知の事実で、どこからが本作で初めて明らかにされた点なのかはよく分かりません。ほとんど予備知識がなかったので、号泣会見の野澤正平社長が単に地雷を踏まされただけの役回りだったというだけでも面白かった。
  • しかしながら、主要登場人物の彫り込みが浅く(あるいは描き分けが甘く)、構成に起伏や緩急が乏しく、文章に個性や知性が感じられないので、今ひとつ引き込まれないまま読了。もう少し見せ方の工夫は欲しかったような気がします。
  • 山一廃業後、消防車等の制作会社「モリタ」の社長になった山一元副社長・新村鋭男が出てきませんでしたが、どういう立ち位置だったのでしょうか。