- NHK-BSプレミアムで7月9日放送。エルンスト・ルビッチ監督。1939年。
- 能天気で面白い。第2次世界大戦勃発の年に公開されていたと思うと不思議な心持ちがする。
- グレタ・ガルボってよく知りませんでしたが、こういう人だったのか。MGMの大スターというほど華がないような気がしましたが、「いつまでたっても田舎くさくって、学校の先生みたいなの」「ディートリッヒは粋ですよ、ガルボは粋じゃない(笑)」と淀川長治も語っていました。
- 人嫌いで、若くして引退するなど、雪解け(「Garbo laughs!」)前の前半部分に魅力があるのも地に近いからかも。生涯独身で同性愛説もあるよう。
- グレタ=マルグレータ(マーガレット)の短縮形。グレタ・トゥーンベリと同じスウェーデン人。
- 「まったく新しいタイプの俳優だった。離れた客席に向かって演技する舞台俳優ではなく、ほとんど間近で、しかも眼差しだけで激怒から悲哀までを表現できる俳優だった」「ガルボは身のこなし、ちょっとした仕草、そして何よりもその目で、奥に秘められた役柄の感情を表現していた。ほんの少しの動きだけで複雑な心理描写をこなし、自分以外の役どころに対する感情と、その場の雰囲気を作り上げていた」という当時の評価があるようで、マイクというテクノロジーを活用したフランク・シナトラのクルーナー唱法を思い出させます(「すでにカヒミ・カリィやジェーン・バーキンを知っている我々の耳には、もはや朗々とした歌唱に聴こえますが、これでも当時は、マイクによるアンプリファイを最大限に利用した、ファンの女の子の耳元で囁くイメージを実現したウィスパー・ヴォイスであり、この唱法の鼻祖であるビング・クロスビーの登場以前にはメイン・ストリーマーだったオペラティックなシンガーたちに比べれば、この唄い方は極度にエロティックだったのです」(菊地成孔/大谷能生))。