鈴木忠平「嫌われた監督−落合博満は中日をどう変えたのか」

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (文春e-book)

  • 週刊文春掲載時から話題になっていた連載の書籍化。
  • 年末に文字通りの一気読み。コアな中日ファンなら振り返って色々と思うところはあるのかもしれませんが、ただただ面白かった。増田俊也木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」以来の興奮があった。
  • 体育会系のカルチャーに背を向けたまま三冠王を3度獲得した異形のプレーヤーが、そのまま異形の監督になって、リーダーとしても結果を出すという意味では稀有なサクセス・ストーリー。
  • 「人に可愛がられる人間になりなさい」という処世術の大切さを読み取ることも可能ではあるものの、本人としては「そんなことやってられるかよアホらしい」という感じなんでしょう。
  • 2007年の日本シリーズ第5戦、山井・岩瀬のパーフェクト継投の裏に、2004年の日本シリーズ第3線、岡本真也の温情続投の失敗があったことも、継投に至る意思決定プロセス(「山井が、自分で言ってくれて良かったな・・・」)も知らなかった。
  • NFLファンの感覚として「勝利至上主義」を掲げながら日本シリーズに5回出て1回しか勝っていないというのはちょっと弱く感じる。マーヴ・リーヴィーかマーティー・ショッテンハイマーかという感じ。日本一よりリーグ優勝の方が尊い世界なのかもしれませんが。