広沢虎造 「清水次郎長伝−お蝶の焼香場/次郎長の貫祿」

お蝶の焼香場/次郎長の貫祿

  • 本巻も「旅行けば駿河の路に茶の香り」からスタート。冒頭にていきなりお蝶死去。
  • 既出の保下田の久六と次郎長の経緯を石松がもう一度語るところで軽く中弛み。
  • 次郎長が300両貸した後のエピソードにしても、せっかく初出なのに「鼓や太鼓は殴って音が出ても、俺の身体は音が出ねぇ」という法印大五郎の時と同じパターン。
  • 偵察要員の熊五郎が久六への報告として、前半部の葬儀の模様をもう一度話すところで再度中弛み。
  • さていよいよというところで「その話をね、今わっしがしてぇ、だけど丁度時間が来ましたからね」で時間切れという。これといった見せ場もなく何とも中途半端な巻という印象は拭えません。続き物なのでしょうがありませんか。
  • 耳に残ったフレーズは、「亭主の好きな赤烏帽子」、「一人二人と言いてぇが、恩義を知らなきゃ犬畜生、一匹二匹で結構だ」、「桂馬の高上がりは歩の餌食」辺りでしょうか。「やくざ者は泣いてしまったらもう熱はない」というのも土佐犬みたいで良かった。
  • もう一匹の恩知らず、常滑兵太郎はいつ出てくるのでしょうか。次は「久六の悪事/次郎長の計略」。
  • 「次郎長の計略」というタイトルに期待で胸が高鳴ります。