ボリス・マルタン/ワルデマール・アベグ「100年前の世界一周-ある青年が撮った日本と世界」

一〇〇年前の世界一周

  • 図書館活用。1905年に世界一周したドイツ人アマチュアカメラマン・ワルデマール・アベグの写真と手記、にボリス・マルタンという人が注釈を付けたもの。
  • 20世紀初頭に船でニューヨークに向かうヨーロッパ移民の姿はそのまんま「ゴッドファーザー」の世界(ヴィトー・コルレオーネの移住は1901年設定)。
  • フラット・アイアン・ビルディングってフィフス・アヴェニュー・バンドのアルバム・ジャケットに写ってる1階にレストラン・デルモニコスがあるあのビル?と思ったけど、高さも場所も全然違った。
  • シカゴに高架鉄道が既にあった頃、西部ではまさに西部劇映画のような世界があって、日本では、日露戦争(1904~1905年)終戦直後で、まだまだみんな和装。韓国は韓服、中国は辮髪で時代の変化を感じますが、インド(ターバン)はほとんど前時代感なし、といった気付きは多数。花魁道中の写真は初めて見ました。
  • 後付けの変なカラー化はしていない方が良い。最近のAIカラー化技術にしては拙いですが、巻末に「本書掲載のワルデマール・アベグが撮影したオリジナルのガラス板(9×13cm)は帰国後、ベルリンにあった小規模の会社Photographische Jens Lützenで着色された」との注記あり。いつ頃の着色なんだろうか。
  • 最終章「その後の世界」の余韻が良い。32歳で世界一周をしたドイツ人官僚は、結婚し、二度の大戦(ドイツ革命やナチスの勃興)を乗り越え、ドイツ国籍を捨ててスイス国民になり、1952年に夫婦で再度世界旅行、ソビエトベルリンの壁を建設した年(1961年)に死去。歴史の荒波を泳ぎきった感。