- メモ
- Muddy Waters and his Band「Live in Loas Angeles 1954」
- Various Artists「Summer of Soul (...or, When the Revolution could not be Televised) Original Motion Picture Soundtrack」
- Various Artists「Soul on the Real Side #12」
- Various Artists「Cuba: Music and Revolution (Culture Clash in Havana: Experiments in Latin Music 1975-85 Vol. 2)」
「我等の生涯の最良の年」
- NHK-BSプレミアムで8月12日放送。ウィリアム・ワイラー監督。1946年。
- 復員軍人が社会復帰に苦労する話。「タクシー・ドライバー」の先駆けですが、3人の同郷の軍人を配置したのがナイスアイデア。
- 舞台は架空の都市ブーンシティですが、モデルはシンシナティとのこと(ベンガルズ33年ぶりのスーパーボウルというナイス・タイミング)。
- 「ローマの休日」も「ベン・ハー」も同じ監督。ビッグネームの作品に比べると監督名の知名度が低い気もしますが、「もうワイラーいうと、誰でも『孔雀夫人』で脱帽するもんね」(淀川長治)らしいので、忘れられた巨匠という感じなのかも。
- 酒に溺れるアル、内に籠もるホーマーに比べると、フレッド(ダナ・アンドリュース)の葛藤が今ひとつ伝わってこない。「いい役者なのに使い道がなくなってきて、人気がなくなってきたのよ」「主役を演っても渋くて地味なのね」(淀川長治)という評価のとおりなのか、脚本の欠点なのか。軍での階級は高かったが出自は貧しい、軍務で強いトラウマという辺りがうまく伝わらない。
- ホーマー=ハロルド・ラッセルは、1944年に訓練映画の撮影中にヒューズの欠陥で起きた爆発事故で両手を欠損。「ことに、ハロルド・ラッセルがいいんです。ラッセルは、これでアカデミー賞の助演男優賞と特別賞を獲ったんですけど、素人なんですね」(淀川長治)。
- ウィルマ(キャシー・オドネル)も魅力があった。私生活では監督の兄ロバート・ワイラーと1948年に結婚した模様。
- ホーマーとブッチのピアノ、それを聴くアル、奥の電話ボックスのフレッドを収めたパンフォーカスは確かに印象的。新郎新婦に客が寄り集まってフレッドとペギーだけが見つめ合って佇むラストの構図も良かった。
- 思想信条によらず軍人さんに敬意と感謝をというのはNFLを観戦していてもよく観られる光景(ヴェテランズ・デイ)ですが、フレッドが客に暴力をふるってクビになる件でよく理解できる。
- ブッチ=ホーギー・カーマイケル。動いている姿を初めて観た。「カーマイケルは1920年代に、インディアナ大学で法学を専攻するかたわらカレッジ・ジャズ・バンドを率いていたのだが、たまたまインディアナ大学に演奏旅行に来たビックス・バーダーベックと出会ってすっかり意気投合し、勉強なんか放り捨ててそのままプロ・ミュージシャンになった」「たぶん曲の印税がコンスタントに入ってきたからだと思うけど、まだ若いうちから第一線を退き、そんなにガツガツと仕事をとらず、ハリウッドに住み着いてたまに映画に出たり(中略)『スターダスト』のカーマイケルとして悠々と心地よく、セレブリティ的な人生を送ったみたいだ」(村上春樹)とのこと。
小暮淳「群馬の小さな温泉」「新・ぐんまの源泉一軒宿」
- 安住紳一郎が「日曜天国」で紹介していた小暮淳による群馬の温泉ガイドを2冊入手。曰く「私はこの小暮淳さんという人を『師匠』と呼んでますから」「ボロボロになるくらいまで読み込んで」「いつか小暮淳さんに会いたいなと思ってるんですけど」。
- 写真が微妙で「あぁ行きたいなぁ」という感じにはならないですが、宿のチョイスが素晴らしいんだろうか。「群馬の小さな温泉」よりは「新・ぐんまの源泉一軒宿」の方が新しいだけあってそそられるものはある。
- とにかく今は甲子温泉に行ってみたい。
「ミッドナイト・イン・パリ」
- NHK-BSプレミアムで7月29日放送。ウディ・アレン監督。2011年。
- 94分の小品。ウディ・アレンが考える映画というもののコンセプトが好ましい。AB面各23分のLPアルバムの好ましさと同類。ラストもとても良い塩梅。
- 寓話としての意味合いを汲み取ろうとするとお気楽な高等遊民の話にしか見えないなぁと思いつつ観ていると、終盤に至って1920年代から更にベル・エポックに飛ぶ重層性で、ないものねだりの懐古主義の無意味さに対する批評に急展開。
- という諸々を取っ払うと、ベル・エポックでも1920年代でも現代でも(特に雨の)パリはいつでも魅力的な芸術の都、という映画では。
- ハリウッドの脚本仕事で小器用に成功して、リッチな婚約者と付き合いながら、小説に打ち込んでいきたいと揺れるカリフォルニアっ子(左巻き)というキャラクター設定にオーウェン・ウィルソンがはまっているのが良い。
- スペインかぜの収束後にロアリング・トゥウェンティーズが来たように、新型コロナ収束後は狂騒の2020年代が来るんだろうか。
- ロダンの愛人について議論をする美術館員=ニコラ・サルコジ大統領夫人カーラ・ブルーニ。マリオン・コティヤールのワンピースがどれも可愛かった。
春風亭昇太/桃月庵白酒/柳家喬太郎/立川生志/林家正蔵他「十八番の噺-落語家が愛でる噺の話」
- 図書館活用。
- 春風亭昇太の名刺代わりの噺が「ストレスの海」とは知らなかった。
- 桃月庵白酒のルックスにそぐわぬクールさに驚き。「いちばん好きなコメディは『ブルース・ブラザーズ』って言ってるんですけど、『松曳き』には『サタデー・ナイト・ライブ』の呼吸が入ってます」とか、「(「火焔太鼓」について)だってみんな大しておもしろくなくて、結局売り物にしてるのは古今亭以外の人ばっかりじゃないですか。そういう意味では一門の人がもう少しがんばったほうがいいな、とは思いますね」とか、いちいち格好良い。
- 「『紺屋高尾』が、なんか人気なんですよね。やたらみんなやりたがる。しかも、すっごいじっくりしっとりとやる。僕はあんまり『紺屋高尾』は好きじゃないというか、『幾代餅』の方が楽しいなと」という桃月庵白酒の粋と、「長年磨いてきた」紺屋高尾の「生志独自のカタチ」を思い入れたっぷりに「じっくりとお伝え」する立川生志の野暮ったさのコントラスト。