2019-01-01から1年間の記事一覧

「男はつらいよ-寅次郎かもめ歌」

BSテレ東で4月13日放送。山田洋次監督。1980年。シリーズ第26作。 色恋成分皆無の安全運転が物足りなくもありますが、北海道弁の伊藤蘭が意外なほどにチャーミング。 「頼んで芸者の子に産んでもらったわけじゃねえ」と校長を殴って中学を退学に…

古泉智浩「青春☆金属バット」

著者によると「最初の『路地裏のバッター』は主人公が止むに止まれぬ理由でバット強盗になるという組み立て方でドラマを構成」していたものの、「北野映画は主人公が常に加害者であり言い訳しないところが素晴らしい」という「映画評を読んだ途端、それがと…

「ヱビス?」アンダマンだよ。「何ですか、それは」オレもよく知らねえんだ、とママが首を振り、アンダマンというのはベンガル湾に浮かぶインドの島だ、とセラ義が答えた。「そこで作っているビールなんですか?」正確にはアンダマン諸島のケチャという島で…

「男はつらいよ-寅次郎ハイビスカスの花」

BSテレ東で4月6日放送。山田洋次監督。1980年。シリーズ第25作。浅丘ルリ子登場全4作のうちの3作目。再見。 水元公園、リリーからの手紙、飛行機(客室乗務員)という序盤がドタバタしていてどうにも味気ない。 所帯最接近からの自壊、なおかつ…

古泉智浩「死んだ目をした少年」

引き続き古泉智浩。作品自体には全然ピンとこなかったものの、あとがき2005年「生きていくのは大変だ」とあとがき2015「自分だけでは持たない」が高濃度で読み応えあり。 曰く「婚約不履行裁判の被告人となって1300万もの慰謝料を請求されていた…

古泉智浩「ピンクニップル」

「ジンバルロック」に続いて古泉智浩。著者曰く「エロマンガ作品集」で、「オレのこの醜く不潔な性器をその体内に受け入れてくださり、柔らかい肌や可愛らしい乳首をなめさせてくださった、奇跡のように心優しい女の皆さんに感謝とお詫びを込めて描いたマン…

古泉智浩「ジンバルロック」

オモコロに掲載された「君の名が」で気になっていた古泉智浩をいくつか読んでみることに。まずはデビュー作にして代表作をチョイスしたところこれが望外にヒット。 何ら特別ではない凡庸で先の見えた人生で明るく足掻く感じが大変に好み。柄谷行人が「私はす…

「男はつらいよ-寅次郎春の夢」

BSテレ東で3月30日放送。山田洋次監督。1979年。シリーズ第24作。 寅次郎が娘の林寛子ではなく母親の香川京子に当然のように惚れるというのも違和感がありますが、禿頭の中年がさくらに惹かれるという展開も素直には入ってこない不自然さ。 斬新…

「選択5月号」

メモ アラブの春「第二幕」は広がるか-相次ぐ北アフリカ「政変劇」の今後 米露がベネズエラで「サイバー暗闘」-反米政権を巡るハイテク攻防戦 北朝鮮「体制転覆」に傾斜する米国-飼い犬「自由朝鮮」が狙うクーデター 中国「危険鎮痛剤」輸出に悩む米国-…

高野秀行「アヘン王国潜入記」

高野秀行/角幡唯介「地図のない場所で眠りたい」からのチョイスその1。「『自分はあれを書いたのだ』と心の支えになるような仕事」「『誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白く書く』という(中略)約二十年間変わらない(中略)…

「マッドマックス-怒りのデス・ロード」

NHK-BSプレミアムで1月14日放送。ジョージ・ミラー監督。2015年。 公開当時ものすごく盛り上がっていた記憶はあったのですが、こんな作品をNHKが放映してくれるとは。 状況説明もキャラクター描写もなく、行って戻ってのカーチェイスのみで…

桜玉吉「伊豆漫玉ブルース」

知らない間に出ていた桜玉吉の新作(本年1月刊行)。「伊豆漫玉日記」の続編。 伊豆の隠遁生活が合っているのか穏やかに枯れた雰囲気が良い。「伊豆漫玉日記」では川崎長太郎が想起されましたが、本作では寺田寅彦が思い浮かびました。 あの画風の人は「秋…

「カメラを止めるな!」

日本テレビで3月8日放送。上田慎一郎監督。2017年。 菊地成孔が「最後にボロ泣きしちゃった」という作品はこういうものでしたか。みんなでもがく素晴らしさが詰まっていて確かに感動的。エンドロール(監督目線のメイキング映像)が圧倒的に爽やかで切…

「蜘蛛巣城」

NHK-BSプレミアムで3月27日放送。黒澤明監督。1979年。 能の素養は皆無なのでよく分かりませんが、三船敏郎は能面「平太」、山田五十鈴は能面「曲見」、浪花千栄子は能狂言「黒塚」がモチーフとのこと。 淀川長治/蓮實重彦/山田宏一「映画千…

三浦しをん「三四郎はそれから門を出た<新装版>」

著作は全く読んだことがなかったのですが、「オシャレの追求に励むのは来世にまわし、今生では思うぞんぶん読書しようと思う」「世の中にこんなに本があるのに、顔なんか洗ってる場合じゃない」という新聞広告の惹句により入手。 「筋金入りの活字中毒者」と…

「男はつらいよ-翔んでる寅次郎」

BSテレ東で3月23日放送。山田洋次監督。1979年。シリーズ第23作。 「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)に続いて山田洋次作品登場の桃井かおり。若く個性的で、富裕層の子女が下町で揉まれて成長するという図式を超越した魅力あり。カップヌー…

高野秀行/角幡唯介「地図のない場所で眠りたい」

「極夜行」が絶好調の角幡唯介と高野秀行の対談。さらりと読めますが、早稲田大学探検部の馬鹿話の隙間にそれぞれの人生観や職業倫理が滲み出ていてしみじみと良い。 「極夜行」は文庫化待ちとして、文庫化済みの角幡唯介「アグルーカの行方-129人全員死…

「東京家族」

NHK-BSプレミアムで12月3日放送。山田洋次監督。2013年。 中嶋朋子もそれらしい雰囲気は出ていますが、美容院経営者の長女(=杉村春子)は当初キャスティングどおり室井滋がはまっていたのでは。 長男の嫁(=三宅邦子)役、ややふっくらした…

「レコード・コレクターズ5月号」

メモ Marvin Gaye「You're The Man」 Coke「Coke」 Various Artists「Nostalgique Porto Rico - Plenas, guarachas, boleros et chansons jibaras 1940-1960」 Various Artists「New Orleans Soul 1962-1966」

「男はつらいよ-寅次郎わが道をゆく」

BSテレ東で3月9日放送。山田洋次順監督。1978年。シリーズ第21作。 冒頭の夢はUFO。渥美清のギラギラのスーツも笑えるけど、イウォーク化した佐藤蛾次郎も相当可笑しい。 夢部分は出色ですが本編はかなりいまいち。木の実ナナと武田鉄矢が充満…

村上春樹「騎士団長殺し」

どこまでも「ねじまき鳥クロニクル」以降の諸作の延長線上で、似たようなキャラクターとモチーフや解決されない謎等、既視感しかないですが、ローリングストーンズの新しいツアーのセット・リストを見るような感じで、悪くはない。 「1Q84」のような読ん…

「男はつらいよ-寅次郎頑張れ!」

BSテレ東で3月2日放送。山田洋次監督。1977年。シリーズ第20作。 冒頭の夢が大金持ちバージョン(吉田義夫は執事役)で異様に可笑しい。 とらやガス爆発。シリーズ中にこんな劇的な出来事があったとは。 とってつけたような藤村志保のマドンナは存…

売払い

NHK・欲望の資本主義・制作班「欲望の資本主義-ルールが変わる時」 NHK・欲望の資本主義・制作班「欲望の資本主義2-闇の力が目覚める時」 猫組長/西原理恵子 「猫組長と西原理恵子のネコノミクス宣言」 溝口敦「血と抗争-山口組三代目」 団鬼六 …

「選択4月号」

メモ NZテロを誘発した米「憎悪産業」-資金力と影響力「絶大」の極右団体 英EU離脱は「御破算」の様相-首相交代で探る「実質残留」への道 トランプ長女「大統領就任」への野望-公私混同「疑惑山積」のイバンカ夫妻 安倍「四選論」に潜む罠-官邸封じ…

「横道世之介」

NHK-BSプレミアムで12月28日放送。沖田修一監督。2013年。 80年代の表層的な面白さを除いても不思議な魅力は感じられるのですが、描写が一本調子に丁寧で160分の長丁場ではダレるところもあり。 いかにもといった個性の強い役者が脇を固…

「男はつらいよ-寅次郎と殿様」

BSテレ東で2月24日放送。山田洋次順監督。1977年。シリーズ第19作。 気が付いてみれば本作でも冒頭の悪役に吉田義夫。ウィキペディアによれば「冒頭の寅次郎の『夢シーン』でヒーローを夢見る寅次郎に成敗される悪党役を続けて演じた」とのこと。…

「男はつらいよ-寅次郎純情詩集」

BSテレ東で2月16日放送。山田洋次順監督。1976年。シリーズ第18作。 マドンナは檀ふみとみせかけての京マチ子。そして死別という異色の展開。ラスト近くの京成柴又駅のシーンが良い。 旅回り一座の座長役はみなもと太郎「映画人たち3」(「挑戦…

「文藝別冊-マーヴィン・ゲイ」

書店で見かけて何故に今マーヴィン・ゲイ?と思いましたが、今年生誕80周年とのこと。 「『ホワッツ・ゴーイング・オン』(中略)はアル・クリーヴランドとオービー・ベンソンの基礎となるアイデアがあり、それをマーヴィンが膨らませたもの」、「『レッツ…

「学校」

NHK-BSプレミアムで11月30日放送。山田洋次順監督。1993年。 あまりにも、あまりにもベタベタの山田洋次ワールド。

溝口敦「血と抗争-山口組三代目」

「サカナとヤクザ」の鈴木智彦が、敬愛する溝口敦(「溝口さんが『肉』を書いたので、僕は『魚』を書きました。本書は溝口さんへのアンサー・ソングなんです」)の著作の中でも「このジャンルの様々な本を読んできましたが、『血と抗争』はこれまでのすべて…